運動は薬:人生を思いきり生きるために
人生に年数を足すのではなく、年数に「生きる力」を足していく。何歳になっても。
最後に駅のホームで電車に向かって走ったのは、いつでしたか。スーツケースを持って階段を上ったのは。子どもと一緒に床に座って遊び、何も考えずにすっと立ち上がったのは。
おそらく、気にも留めなかったはずです。それこそが大切なポイントです。体がうまく働いているとき、体は私たちの生活の中に溶け込み、意識されることはありません。私たちが体の存在に気づくのは、何かが少しずつ失われ始めたときなのです。
10月16日、私は在日イタリア商工会議所が主催する MeDiet Japan 2026 に参加しました。会場では、身体の健康、脳神経科学、ファスティング、睡眠、ホルモン、腸内環境、生きがい、そして幸福感まで、ウェルビーイングをあらゆる角度から考える講演が続きました。紹介された研究はどれも説得力のあるものでした。定期的な運動は、がんの予防や回復を支え、記憶力や脳の健康を守り、私たちがどのように年を重ねるかに大きく影響するのです。
その中で、ある医学研究者の一言に、私は思わず息をのみました。
「私たちは病気で測る。でも、患者さんは『機能』の中で生きている。」(We measure in disease. Patients live in function.)
病気で測る。でも、私たちは「機能」で生きている
医療は、体の中で何が起きているかを測ります。診断、血液検査、画像検査。こうした数値はとても大切で、治療の道しるべとなり、命を救います。
けれど、検査結果の中で生きている人はいません。
私たちが生きているのは、朝ベッドから起き上がる瞬間。階段を上るとき、電車の荷物棚にバッグを載せるとき、庭にひざをつくとき、ひじ掛けに頼らず椅子から立ち上がるとき。
人生は、当たり前だと思っている動作の中にあります。それが難しくなる、その日までは。
そしてその日が来たとき、私たちが本当に恋しく思うのは、筋力テストの数字ではありません。自由です。行きたい場所へ行き、好きなことをし、誘われたときに迷わず「行きたい!」と言える自由。先に「私の体で大丈夫かな?」と考えずにすむ自由です。
それが「機能」の意味です。そして、それこそがピラティスで鍛えるものなのです。
運動は薬。でも大切なのは「どう動くか」
研究によって、定期的な運動が心臓、筋肉、脳、記憶力、気分を支え、がんの予防や回復にも大切な役割を果たすことが明らかになっています。運動は医療の代わりではありません。医療とともに、自分自身をケアするための最も力強い方法のひとつです。
けれど長年指導してきた中で、同じくらい大切なことに気づきました。大切なのは、どれだけ動くかだけではありません。どう動くかです。
一生懸命運動していても、自分の体を理解していないことはあります。同じクセを繰り返し、同じところで代償動作をして、なぜいつも同じ腰の痛みや肩のこりが戻ってくるのだろう、と不思議に思っている方も多いのではないでしょうか。
あなたの動きはどこから始まっていますか。強さとコントロールを同時に発揮できていますか。人生が新しいことを求めてきたとき、体はそれに応えられますか。
エクササイズは体に負荷をかけます。良いムーブメント教育は、体を理解させてくれます。そして自分の体を理解したとき、私たちは体と闘うのをやめ、体と一緒に歩み始めることができるのです。
スタジオの外の人生のためのピラティス
My Body My Pilates では、ピラティスが上手になるためにピラティスを教えているのではありません。より良く生きるために教えています。
グループクラスでもプライベートセッションでも、私たちのレッスンはすべて、ひとつの問いに立ち返ります。「どうすれば体を上手に使えるか?」
私たちが問いかけるのは「このエクササイズができますか?」だけではありません。「どう動いているか理解していますか?それは明日、階段で、デスクで、次の旅先で、どう役立つでしょう?」ということです。
ある方にとっては、でこぼこ道を再び自信を持って歩けること。ある方にとっては、腰の痛みなく赤ちゃんを抱っこできること。またある方にとっては、ケガのあと、もう一度自分の体を信頼できるようになること。
目標は人それぞれ。それでいいのです。私たちは皆を同じ体型にするために指導しているのではありません。一人ひとりが自分らしい人生を、思いきり生きられるようにサポートしているのです。
長寿とは、ケーキのろうそくを増やすことではない
時間を止めることは誰にもできません。どんな運動も、病気のない人生を約束することはできません。それでも、今日何をするかは自分で選べます。
筋力。バランス。可動性。コーディネーション。これらは単なるフィットネスの目標ではありません。快適に歩けること、しっかりと立っていられること、旅行すること、友人に会うこと、自立して暮らすこと。毎日の自由を支える土台なのです。
そしてそれは、何歳からでも築くことができます。問題が起きて気づかされるまで待つ必要はありません。
明日必要になる体をケアするのに一番良いタイミングは、今日です。
動くことと幸せのつながり
イベントでは、生きがいと幸福感についての講演にも深く心を動かされました。幸せは心の問題だと思われがちです。でも、あなたに喜びをくれるものを思い浮かべてみてください。
知らない国への旅。ダンス。ガーデニング。お孫さんと遊ぶ時間。目的もなく、気の向くままに街を歩くひととき。
そのどれもが、体を通して経験するものです。
体が不自由になると、私たちの世界は小さくなります。良い動きを保ち続ければ、世界は大きく開かれたままです。
運動が幸せを保証するわけではありません。でも、人生を豊かにする瞬間への扉を開いたままにしてくれます。そして、もっと静かな喜びもあります。レッスン中にふと何かがつながって、体が軽く、強く、本当に自分のものだと感じられる、あの瞬間です。
体は、人生を感じるためのもの
あなたの体は、仕事も、大切な人との関係も、冒険も、何気ない毎日も、すべてを運んでくれています。何か問題が起きるずっと前から、気にかけてあげる価値があるのです。
老化と闘うためではなく、もっと頑張るためでも、自分を追い込むためでもなく。気づき、敬意、好奇心に基づいた体との一生の付き合いこそが、自分自身に贈れる最高のギフトのひとつだからです。
運動は薬。生きることが、その理由。
始めるのに、体力は要りません。柔軟性も、若さも要りません。
必要なのは、始めることだけ。今いる場所から、今の年齢から。
目指すのは、いつまでも若くいることではありません。自由に、自信を持って、喜びとともに生き続けること。探求し続けること。好きなことを続けること。人生がまだ用意してくれているものを、見つけ続けることです。
私たちと一緒に、動きましょう。
何から始めればいいかわからない方には、プライベートセッションがおすすめです。今のあなたの体の動きを一緒に見て、これからも続けたい人生へとつながる道をつくっていきます。
Move for life. 何歳になっても、最高の自分で。
— Helen, My Body My Pilates




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